粉瘤切開日記 (1)

なぜか昔から、年末(それもクリスマスの頃)になると痛い病気(それもちょっとめずらしいもの)を発症することが多い。過去には臍炎(さいえん)、帯状疱疹、胆石症(過去に2年連続クリスマスに発症して診察した医者に笑われた)、そして今回の粉瘤(ふんりゅう)の炎症である。過去の痛い記録のいくつかはこの日記でも顛末を記してきた。

 

経緯を簡単に書くと、思い出せないくらい前 (病院によると少なくとも6年以上前)から粉瘤なるシコリのような出来物が胸部にできてしまい、一度病院で診察したらまったく急を要するものではないが、いつかは取ると良いと言われた 。そしていつものように「急ぎでないものは後回し」ということで、後回し後回しで結局ずーっと放置し続けている内に忘れてしまい、意識にも上がらなくなってしまった。それがこの数日くらいにどういうわけだか突如として粉瘤君が痛むようになり、明らかに炎症を起こしている。肌に優しい柔らかな服を着るだけでもピリッと痛み、ショルダーバッグ的なかばんを背負うとそれが当たって痛い。シートベルトするのも痛い。もちろん匍匐前進なんて絶対にできない(し、そんなことをする機会は日常生活で決して訪れないのだけど)。そこで、今朝、朝イチで病院に行って外科の診断を受けたところ、その場で即手術判定となり、心の準備もできないまま診察ベッドに寝かされて切開手術と相成った。局部だけ穴が空いている水色の布のようなものをおざなりに被せられ、麻酔をざくざくと2-3本打たれた後、メスで切開した。これまで手術経験は数あれど、メスをいれるような手術は全身麻酔でやってきた。今日は意識がある中で、医者が看護師に「メス」と言っているのを初めて聞いた*1。 うぉーまじかー!!と妙にテンションがあがる。切開自体は麻酔が効いていたのでそれほど痛くもなかったのだけど、最後に切った部分の奥の方にガーゼを詰めこむ必要があり、その処置は過去に受けた臍炎治療を彷彿とさせる激痛を伴うものであった。いかにも麻酔が効いていなそうな奥の方にガーゼを突っ込んでいるのだから、痛いのは当然じゃないかな、などとまるで第三者的な視点で他人事のように心の中で思ってみるのだが、当事者なんだから痛いものは痛い。激痛に耐えながら、自分の拷問耐性が限りなく乏しいことを自覚できた。これがあと7秒長く続いていたら、おそらく自分が知り得た秘密は洗いざらい喋っていただろう(まぁ、拷問する価値のあるような大層なこととは何一つ知らないのだけど)ちなみに怖いので、終始目を固くつぶっていたが、終わりしなに執刀医が「ほれ」と言うので、目を開けたら取り出した粉瘤の残骸だけは見ることができた。こんなものが身体の中にあったとは・・・

まぁそんなこんなで、明日からしばらくの間ガーゼを交換しに通院をしなければならないのだけど、おそらくそれはかなりの激痛を伴うものと想像している。色々調べると、鋭匙(えいひ)なるいかにも痛そうな名前の器具を使って、傷口をグリグリするというような恐ろしい記述が出てくるので、正直恐れ慄いている。そんな不安をいささかでも解消すべく、自分の気持ちを文章にぶつけてみることにした。これは、楽しいクリスマスなどとは縁遠く、ただひたすらに痛みに耐える中高年男性の手記である。

追記

仕事は山積みであるが、痛みが酷くて何も手に付かない・・・明日以降良くなるのだろうか・・前に扁桃腺切ったときもそんなことを書いていたが、あれは入院していたのに対し、こちらは日帰りなのでスケールが違うはずなのだが・・・

*1:ただしドラマなどと違い、執刀医、看護師、患者の全員が中高年であることに注意されたい